卒業生との対談

OB紹介・対談
活躍する卒業生!
教員が卒業生に
昔と今をインタビューします!
今だから話せる、学生時代の想い。

松村: 学校に来るのは5年ぶりぐらいかな?

葛島: そうですね、卒業以来です。教室の雰囲気は変わってないですね〜! この…後ろの端の席、よく使っていました(笑)。

松村: (笑)。

葛島: 当時の僕は、留年するほどの落ちこぼれの学生でしたよね。

松村: いやいや、勉強に苦戦していた印象はあったけど、当時から芯の強さはあったし、諦めない強さがあるという部分でも落ちこぼれではないと思うよ(笑)。葛島君にとっては、留年という形はショックだったと思うけど、そこで終わらずに悔しい気持ちをエネルギーに変えたことが良かったと思っています。

葛島: 絶対に見返してやろうという気持ちがありました。努力が足りなかった僕にも問題はありましたけど、留年すると「あいつはできない」という見方をされることが悔しかったです。できない人っていう評価を覆してやるって思っていました。

松村: とても良い考え方ですね。僕も頑張る時にはそんな考え方をするときがあります。だから、その…アウトサイダー側から攻めていく「負けてたまるか!」「見とけよ!!」みたいな気持ちがすごく分かる。だから教員として学生を応援する気持ちとは別に、僕自身のなかで「葛島君、がんばってよ!!」みたいなところがあったな〜(笑)。

葛島: 初めて聞きました(笑)。先生には本当にお世話になりました。就職先まで紹介していただいて、その会社で物事に対する考え方をずいぶんと鍛えてもらえて、感謝しています。

松村: そう言ってもらえると僕としてもうれしいです。この学校は、生徒数も増えたけど、やっぱり小規模。だからこそ、葛島君みたいに悩んだときとか、就職先のことも把握しやすい学校の良さを活かせました!

有言実行、東京で始まったトレーナーとしての人生

松村: 東京でトレーナーとして活動してみた印象なんかも聞きたいけど、一般的な理学療法士としてのキャリアとは全く違うと、物事の見え方は変わりましたか?

葛島: そうですね。責任ある仕事だという実感は年々増えてきます。始めたときよりも、今のほうが痛感しています。あとは、東京は本当にいろんな人がいるので、実力の世界。まだまだ努力しないと、って思っています。

松村: いわゆるトレーナー仲間、みたいな交流はありますか?

葛島: ありますよ! 横綱のトレーナーと会う機会があればいろいろと相談したり、実際に診ているところを見学したこともあります。

松村: 自分とは違うな〜っていう実感があった?

葛島: ありました。あとは、自分から先手で聞いていかないとダメ、っていうことも学びました。教えてもらう相手は同業のライバルになるので、それでも教えてもらうための努力をまず自分がしとかないと、って思いました。

松村: 今回、新横綱が誕生したことで葛島君も同じように「横綱のトレーナー」に仲間入りしたわけですよね。すごいよね〜。

葛島: (苦笑)。なんか…照れますね。気を緩めず努力していきます。

松村: アスリートにケガはつきものだから、僕らには想像できない怖さみたいな部分もあるよね、きっと。

葛島: (苦笑)。

白か黒の世界だからこそ、本気で挑んでほしい。

松村: 葛島君自身は野球の強豪校出身で、親友に逸ノ城関がいたりするような「スポーツ」が身近な存在だったと思いますが、同じようにスポーツが身近だった学生は結構多くて、学生からも「スポーツトレーナーやってみたい」という声をよく聞くけど、実際に関わっている葛島君から見た世界はどんな印象ですか?

葛島: う〜ん。生温い気持ちではできない世界です。

松村: お、なかなか重みのある一言ですね。

葛島: 言い方がきついかもしれないですけど、学生のときって「努力した過程」を重視して評価されますけど、この仕事は「結果」しかないので、「がんばってきたからできる」みたいな感覚とはちょっと違います。勝つか負けるか、どちらかしかない世界なので、メンタルも相当強くないとダメですし。

松村: そうか〜、そうだね。「やってみようかな」っていうライトな雰囲気で踏み込める世界ではないよね。アスリートは試合の結果で人生が変わるからね。「どうしてもトレーナーがやりたい!」っていう強い気持ちを貫ける根性と覚悟が必要になってくるよね。

葛島: そうですね。昔より今のほうがそういう、人生背負っている重みを感じる機会は増えてきました。

松村: アスリートやその家族の人生も背負っている…。誰でもなれる職業じゃない分、大変さがあり、責任も重いけど、今回みたいに大きな結果が出たら、やりがいも大きいよね。

想いを叶えるために動き続ける

松村: ケガをしてナーバスになっているアスリートと対峙するときはどんなことに気をつけていますか?

葛島: 一番は、体感してもらうことですね。例えば、膝がうまく使えていない原因とか弱くなっている部分を実際に僕の目の前で体感してもらって納得できれば、モチベーションが全然違ってきます。うまくいかない時期でも目標を見失わずにやっていきたいじゃないですか。

松村: そうやって指導することで信頼関係も構築できていくのか…。

葛島: 最初に働いた職場で「想いを叶えているのか」「身体が思い通りになっているか」って先輩や上司が僕に考える問いを投げ続けてくれたことが、今の僕を支えてくれていると思います。先生のおかげでもありますよ。

松村: そう言ってくれると、本当にうれしいわ〜。きっと少しずつ葛島君自身のステージも変わっているなかで、そういう根っこにあるものを大切にするのは素敵やね。学生のときの「見返してやる」って気持ちもまだ、あるの?

葛島: 原動力になっていますね。でも新しい目標みたいなものも少しずつできてきて。

松村: 数年後のプランができつつあると?

葛島: 少しずつ関わらせてもらうアスリートも増えてきた経験を次に活かしたい気持ちがありますね〜。

松村: それは後輩育成ってこと?

葛島: それもひとつあります。自分の分野を教える側にも回りたいと思っています。

松村: 数年後には今とは違う葛島君の活躍があるかもしれないって思うと楽しみやな〜! 新しいステージでの活躍も期待します!!

葛島: がんばります!!

Profile

葛島 勝義

大阪府出身

大相撲フィジカルトレーナーとして現在は第73代横綱に昇進した照ノ富士のトレーナーとして活動中。 逸ノ城関をはじめ大相撲を中心にアスリートのトレーナーとしても実績あり。