更新日:2025.06.25
公開日:2025.01.22
リハビリ
言語聴覚士が子どもたちにできること 小児分野での活躍を解説
言語聴覚士は、言葉やコミュニケーションに課題を持つ子どもたちをサポートする専門職。 ですが、その役割がどのように発達支援に貢献しているのかはあまり知られていません。 本記事では、小児分野で活躍する言語聴覚士がどのようにして子どもたちの発達をサポートしているのかについて詳しく解説します。 小児言語聴覚士って知っていますか? あなたは、小児言語聴覚士という職業をご存知ですか?子どもたちの言葉や食べる力を支える、とても大切な仕事なんです。 小児言語聴覚士は、言葉や嚥下(えんげ:飲み込み)に問題を持つ子どもたちをサポートする専門職。この職業は、言葉やコミュニケーションに関する障害を解決することを主な目的としていて、コミュニケーション障害の専門家とも言えます。 主に2歳から15歳くらいまでの子どもたちを対象に、言葉の発達や聞こえ、食べることに関する問題をサポートします。 具体的には、以下のような課題に取り組んでいます。 ・言語発達の遅れ ・聴覚障害による言語発達への影響 ・発音や聞き取りに困難がある ・食べ物や飲み物を安全に飲み込むことが難しい 小児言語聴覚士の主な役割は、一人ひとりの子どもの状況を詳しく観察し、その子に合った支援プランを考えること。 これには、遊びを通じた言語訓練、聴覚訓練、摂食・嚥下訓練などが含まれます。 小児言語聴覚士の需要は年々高まっていますが、成人領域と比べるとまだ専門家の数が少ないのが現状です。しかし、子どもの将来に大きな影響を与える重要な職業として、その役割はますます注目されています。 子どもたちの可能性を最大限に引き出し、より良いコミュニケーションと生活の質を実現するため、小児言語聴覚士は日々努力を重ねているのです。 小児言語聴覚士の対象はどんな子ども? 小児言語聴覚士が対象とするのは、言語やコミュニケーションに課題を持つ子どもたちです。 具体的には、以下のような子どもたちをサポートしています。 ・発達障害 自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの発達障害を持つ子ども。 ・言語発達の遅れ 言葉をうまく使えない・発音が不明瞭・言葉が遅れて出るなどの問題を持つ子ども。 ・聴覚障害 耳の聞こえに問題があり、言語習得に支障をきたしている子ども。 ・吃音(きつおん) 言葉がスムーズに出ない、言葉を繰り返したり詰まったりすることがある子ども。 ・知的障害 知的な発達の遅れがあり、言語の習得やコミュニケーションに課題がある子ども。 ・脳性麻痺やその他の障害 身体的な障害や脳の障害が影響して、言葉やコミュニケーションに問題を持つ子ども。 小児言語聴覚士は、これらの課題を持つ子どもたちが適切に言語を使えるように支援し、コミュニケーション能力を向上させるためのリハビリテーションを行います。 小児言語聴覚士の仕事内容 小児言語聴覚士の仕事内容は、言語やコミュニケーションの発達に支援が必要な子どもたちに対して、専門的なリハビリテーションを行うことです。 具体的には、以下のような内容が含まれます。 ・評価と診断 子どもが抱えている言語やコミュニケーションの問題を観察・評価します。子どもがどのようにコミュニケーションをとっているかを理解し、問題の特定を行います。 ・個別的な治療プランの作成 子どもの特性に合わせた治療プランを作成します。 例えば、発音のトレーニングや、言葉の理解を助ける絵カードを使った練習、コミュニケーションの仕方を教えるなどがあります。 ・個別またはグループセッションの実施 子ども一人ひとりのペースに合わせた個別セッションや、小グループでのセッションを行います。ゲームや遊びを取り入れて、楽しみながら言語を使う練習をすることもあります。 ・親や保護者への指導 親や保護者が、子どもと一緒に練習を行ったり、日常生活の中で言葉を発達させるためのサポート方法を教えたりします。 ・多職種との連携 医師、保育士、教師などの他の専門職と連携し、子どもを多角的にサポートします。 ・進行状況のモニタリング 定期的に進行状況を確認し、治療プランの効果を評価します。 ・啓発活動や研修 小児言語聴覚士として、言語や発達に関する知識を深めるための研修や勉強会に参加したり、地域や学校での啓発活動を行うこともあります。 このように、小児言語聴覚士の仕事は、言葉やコミュニケーションに課題を持つ子どもたちを支援する非常に重要な役割を果たします。 では、そんな言語聴覚士たちはどんな場所で活躍しているのでしょうか? 小児言語聴覚士が活躍する場 小児言語聴覚士は、子どもたちの言語やコミュニケーション能力の向上を支援するため、さまざまな場所で活躍しています。主な活動の場を紹介しましょう。 病院・医療機関 ・小児科病棟 入院中の子どもたちが言語や発達に関するリハビリを受けるための場所です。医師と連携し、発達障害や脳性麻痺、言語の遅れなどを抱える子どもにリハビリを行います。 ・リハビリテーション病院 発達障害や聴覚障害・脳の疾患・脳卒中後のリハビリが必要な子どもたちを対象に、個別の治療が行われます。 ・耳鼻咽喉科 聴覚に関する障害を持つ子どもに対し、聴覚訓練や言語訓練を行います。 教育現場での支援 保育園や幼稚園、学童保育では、言語発達が遅れている子どもや、発音やコミュニケーションに課題がある子どもたちを個別またはグループでサポートします。 遊びを通じて言語発達を促すアプローチが多く用いられます。 特別支援学校や特別支援学級では、発達障害や知的障害、聴覚障害を持つ子どもたちの言語やコミュニケーションスキルの向上を目指し、個別指導や授業中のサポートを行います。 地域の支援センター 地域にある福祉施設や発達支援センターで、言語や発達に課題を持つ子どもたちにリハビリを提供します。 ここでは、発達が遅れている子どもや言語の問題を持つ子どもたちに対して、個別またはグループで治療を行います。 自宅訪問(訪問リハビリ) 訪問リハビリを通じて、家庭での支援が必要な子どもに対して、親と一緒に練習したり、家庭での言語発達をサポートしたりします。 自宅でリハビリを受けることで、家庭での生活に即した支援が可能になります。 民間の言語訓練施設 言語聴覚士が所属する民間のクリニックや訓練センターで、発達が気になる子どもや、特別な支援が必要な子どもを対象にリハビリを行います。 これらの施設では、早期療育や個別支援が行われ、子どもに合わせた特別な訓練が提供されます。 このように、小児言語聴覚士はさまざまな施設や場で子どもたちを支援し、言語やコミュニケーション能力の向上に貢献しています。 まとめ もし、あなたが子どもたちの言葉やコミュニケーション能力をサポートしたいと考えているのであれば、小児言語聴覚士はとても魅力的な職業です。 子ども一人ひとりの発達をサポートし、その成長を実感できる瞬間は大きな喜びとなります。この仕事を通じて、子どもたちの未来もより良いものにできるでしょう。 子どもたちの笑顔のために、日々努力を重ねる小児言語聴覚士。 その姿に、きっと皆さんも心を動かされるはずです。将来の進路を考える上で、ぜひ小児言語聴覚士という選択肢も視野に入れてみてくださいね。 あなたの「支える」想いを、確かな技術に。 ここだからかなう夢があります! 100%の合格率※が証明する、夢への近道。 ※2023年度 理学療法学科・作業療法学科 国家試験合格率より 平成リハビリテーション専門学校は… ・3つの専門学科で、医療福祉のプロフェッショナルを育成 ・全国平均を大きく上回る国家試験合格率 ・実践的なカリキュラムと少人数制で、即戦力となる人材を輩出 ・西宮の好立地で、大阪・神戸からもアクセス抜群 ここから、あなたの新しい人生が始まります。 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士として 患者さんの笑顔を支える喜びを、一緒に感じてみませんか? 夢への第一歩。平成リハビリテーション専門学校で、あなたの未来を描いてみましょう。 PT・OT・STすべての学科を一度に体験できる! オープンキャンパスの予約はこちらから!
更新日:2024.08.28
公開日:2024.01.23
リハビリ
言語聴覚士の将来性についてご紹介します。
言語聴覚士はその専門性の高さと、対応できる領域の広さから、近年注目を集めている職業です。 新たに医療、福祉・介護分野に必要とされる人材として、今後も言語聴覚士には期待が集まるでしょう。 そんな言語聴覚士ですが、「将来的にもこの需要が続いていくのか?」といった疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。 そこで本記事では、言語聴覚士の将来性について解説します。 言語聴覚士に将来性はある? 結論から言えば、言語聴覚士には高い需要と将来性に期待できます。 既に多くの職場や業界で必要とされている言語聴覚士ですが、今後はさらにその需要が高まる可能性があるのです。 日本言語聴覚士協会の会員データによると、現状における言語聴覚士資格の合計合格者数は38,200人となっています。 そのうち会員を対象にした就業状況によると、19.789人が実際に言語聴覚士として仕事をしていることが分かっているのです。 1997年から国家資格として認定された言語聴覚士は、まだまだその歴史が浅いと言えます。 逆に言えば今後歴史が深まっていくことで、将来性は高まっていくと考えられるでしょう。 既に需要の高さに注目が集まりながらも、同時に将来性に期待できる点が、言語聴覚士の特徴です。 言語聴覚士に将来性があると言われる理由 「言語聴覚士には将来性がある」と言われることには、以下のような理由があります。 以下を参考に、言語聴覚士に将来性がある具体的な理由を把握してみましょう。 超高齢化社会の加速によってさらに需要が伸びる 今後も加速することが予想される「超高齢化社会」の影響が、言語聴覚士の将来性につながると予想されます。 超高齢化社会とは、65歳以上の高齢者の割合が、「人口の21%」を超えた社会のことです。 内閣府の発表によると、既に2019年の時点で総人口に占める高齢化率の割合は28.4%になっています。 また、日本は2025年に、団塊の世代と呼ばれる800万人が、全員75歳以上の後期高齢者になるという「2025年問題」を抱えています。 このように超高齢化社会は今後ますます加速し、多くの高齢者への対応が必要になると考えられるでしょう。 高齢者のなかには、言語や聴覚、食事の飲み込みに負担を感じる人が多いです。 そのため今後の超高齢化社会に備えて、それらの症状に対応できる言語聴覚士の確保が必要となるでしょう。 結果的に超高齢化社会が、言語聴覚士の将来性を押し上げる要因になると想定されます。 数値参考:https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html 医療機関でのさらなる活躍に期待できる 言語聴覚士は、特に医療機関で活躍している職業です。 2020年度の「診療報酬改定」における「疾患別リハビリテーション料に係る言語聴覚士の配置の見直し」によって、言語聴覚士は「呼吸器リハビリテーション」「難病患者リハビリテーション」「脳血管疾患等リハビリテーション」などの施設基準に追加される結果になりました。 日本言語聴覚士協会のデータによると、会員の67%が医療関係の勤務先で言語聴覚士として働いています。 もとより医療関係で多くの言語聴覚士が働いているため、多くの事例や先輩たちからのアドバイスを得られるのが特徴です。 言語聴覚士として働きやすい領域になっているので、今後も医療機関で働く人は増えると予想されるでしょう。 それは結果的に医療分野における言語聴覚士の地位の向上につながり、より高待遇による採用に期待できるかもしれません。 言語聴覚士は待遇に関する面においても、将来性があるでしょう。 医療分野における対応領域の拡大の可能性もある 言語聴覚士は、医療分野のさまざまな領域で仕事ができています。 日常生活を快適に過ごすために欠かせない言葉、聴力、嚥下といった点における症状のリハビリが行えるため、病院のなかでも多くの場所で働けるのが言語聴覚士の強みであり、将来性につながる理由です。 さらに言語聴覚士は、今後も医療分野で活躍できる領域が広がり、豊富な人材が求められる可能性があります。 新制度の確立や医療業界の動向を確認し、言語聴覚士の需要の変化を注視することも将来性を知るポイントです。 聴覚分野や小児分野ではまだまだ人手不足 言語聴覚士は幅広い分野で働いていますが、聴覚分野や小児分野ではまだまだ人手が足りていない状態となっています。 日本言語聴覚士協会のデータを参考にすると、「小児言語・認知」の分野で働いている人は4,625人、「聴覚」においては2,097人という少なさです。 「成人言語・認知」が14,650人、「摂食・嚥下」が14,630人、「発声・発語」が14,428人という数値になっていることを考慮すると、言語聴覚士は働ける領域が広いにも関わらず、人数の割り振りは偏っていると言えるでしょう。 しかし、逆に言えば聴覚分野や小児分野の需要は、その他の分野よりもさらに高いと考えられます。 需要が高い領域がまだ存在するという点は、言語聴覚士に将来性あるという理由になるでしょう。 これから言語聴覚士になるのなら、聴覚分野や小児分野で活躍するためのスキルを身に付けることで、就職や転職で有利に立ち回れる可能性があります。 介護・福祉施設や自宅で過ごす患者さんが増える可能性がある 介護・福祉施設においても、言語聴覚士は需要の高い職業となっています。 自宅を訪問するスタイルでのサポートも可能なため、家で治療を受ける患者さんたちにも対応可能です。 そのため今後、病院で長期間治療を受けるのではなく、介護・福祉施設や自宅で過ごす人が増えても、言語聴覚士に将来性はあると判断できるでしょう。 医療費の上昇などによって、病院ではなく介護・福祉施設で高齢者をサポートする動きは加速しています。 そのため将来的には、現在の病院に近い役割を、介護・福祉施設がまかなう可能性もあるでしょう。 言語聴覚士なら、病院でも介護・福祉施設でも働けるため、将来的に高齢者のサポート体制がどのように変化しても対応できます。 仮に医療を取り巻く社会情勢や高齢者の支援方法が大きく変わったとしても、言語聴覚士は変わらず将来性のある職業として期待されるでしょう。 言語聴覚士になるのなら、将来的な医療現場の変化も考慮して、介護や福祉に関する知識もしっかりと学んでおくことがポイントです。 まとめ 改めて、言語聴覚士には将来性があると言えます。 その専門性や需要の高さによって、今後も多くの職場で活躍できるでしょう。 言語聴覚士になるには、指定の専門学校などを卒業して、国家試験に合格しなければなりません。 この機会に言語聴覚士になるための流れも確認し、具体的に自分の将来の仕事にすることも検討してみてください。 言語聴覚士の国家資格を目指す勉強は平成リハビリテーション専門学校の言語聴覚療法学科で学ぶことができます。 資料請求、オープンキャンパスへのご参加をお待ちしております。